2009年6月29日

09年6月20日 第99回 「広告写真、これまでの10年、これからの10年」

今回の関西電塾は初登場、この業界で知らない人はいない「コマーシャル・フォト」編集次長の川本 康の登場です。
「広告写真、これまでの10年、これからの10年」と題して、今後の広告業界を幅広く推察して頂きました。
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今回は全部で四部構成、
1、グラフィック広告と広告写真の変遷
2、タゲレオタイプからデジタルまで
3、紙メディアからインターネットへ
4、2010からの広告写真
という形で講演されました。

「グラフィック広告と広告写真の変遷」
広告業界の現状や昔と今のワークフローの違いなどを説明頂いたあと、過去10年間のコマーシャルフォトの「AD of the year」から見た広告の変遷をご紹介頂きました。
90年代、広告の大きなポイントはデジタル化、速度重視のデザイン、日常的な写真、の三つというのが川本氏の考え。
長年広告業界全般を見てきている方なので、驚くほど説得力がありました。
その後80年代の広告写真をいくつか見せて頂きましたが、やはり写真にパワーがありました。
「広告写真がかっこよく、常にクリエイティブな話題を独占していた時代」と川本氏が呼んでいた80年代の広告写真。
今見ると本当に新鮮で素直に「かっこいい」と思える写真ばかりでした。

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「タゲレオタイプからデジタルまで」
この章では、過去の写真の在り方からデジタル化に進む現在の広告写真の成り方を紹介。
特に川本氏の紹介されたインターネットを通じた写真表現は圧巻でした。
もはや実写、3D、2D、CG…すべてが同じ土壌にあるとは川本氏の弁。
写真と動画の分け目なんて関係ない、全てはインタラクティブな表現の可能性である。
この言葉は多くの人の心に残る言葉だと思いました。

「紙メディアからインターネットへ」
今、出版業界は大きな転換期を迎えています。
大手の出版社は揃って赤字、それに伴って各社こぞって広告写真の経費削減…。
そんな中で、各社紙媒体からネット、モバイルへビジネスモデルの転換を図っています。
特に興味深かったのが、地上アナログテレビ跡地の話。
2011年、地デジが始まった後にアナログ電波はどう利用するのか?
気になる方は一度調べてみて下さい。
色々と新しい発見があると思います。

「2010からの広告写真」
今、広告写真業界は100年に一度の転換期を迎えています。
5D MarkⅡの動画機能や4Kの動画カメラ「RED ONE」の発売。
3DCG化へ移行しつつある車、建築、家電業界。
レタッチャーはWEB、3D、動画の方面へ業務を拡大。
ポスターからデジタルサイネージへ…

そんな中で写真家のアドバンテージとは。
川本氏曰く、「光を読み、操り、それを撮る力は何者にも匹敵する」ということ。
動画であれ写真であれ、何かを撮る場合に必ず必要な「光」。
その、1枚に対するこだわりは写真家のみが持つ完璧なアドバンテージ。

しかし、これはある意味警告でもありました。
メディアが拡大することにより、写真や動画双方向からの仕事が増えることが目に見えています。
さらには写真、動画、3D、データベースをクロスオーバーした新しい表現方法が出てくるかもしれません。
そんな中で、どういった立ち位置が求められるのかを自分自身で考えなければいけない。
そう言っているようにも思いました。
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その他、5D MarkⅡで撮影されたCFやPV、RED ONEで撮影した動画から写真を切り取る(!)実例まで、幅広く紹介して頂きました。
遠い所から来て頂いたにも関わらず、真剣にお話して下さいました。
本当に勉強になる4時間でした。

フォトグラファーやそれを目指している人はもちろん、全ての広告関係者の心に残る講演だったと思います。
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以上、第99回関西電塾レポートを終了致します。
いよいよ次回は100回記念!お楽しみに!